哀しみを力強さに カバー曲 アザミ嬢のララバイ

島津亜矢の歌う「アザミ嬢のララバイ」は、わたしが知る限り、DVD「島津亜矢リサイタル2007 邂逅」にしか、収録されていないと思います。非常に残念ですが、いずれCDアルバムの一曲に収めて欲しいと思っています。それだけ、島津亜矢の「アザミ嬢のララバイ」には、感銘を受けました。

 

正直、DVD「島津亜矢リサイタル2007 邂逅」を購入する前から、非常に楽しみで、見事、その期待に応えてくれたように思います。個人的には、島津亜矢と中島みゆきのコラボが好きで、このサイトでも、CDアルバム「Singer」の中から中島みゆきの曲を中心に、すでに個別レビューを書いています。

 

 

島津亜矢の「アザミ嬢のララバイ」は、オリジナルの中島みゆきとは違った魅力が、ふんだんに盛り込まれていると思います。彼女の伸びのある歌声が、歌詞の主人公である女性の哀しさを掴み取り、それをそのまま表現するというよりも、どこかで形を変えているように感じます。おそらく主人公の女性は、夜の商売をしているのでしょう。他人を慰めながらも、ふと自らをも見つめたようで、哀しみに溢れています。

 

夜の商売と言えば、男が相手でしょうが、綺麗事でなく、こういう女性には、影を感じ、つい助けたいと思ってしまいます。もちろん、わたしも中年男なので、こういう女性と関係を持つ可能性もあります。そうは言っても、救いの手を差し伸べたいと思うことは、素直な心であり、また、わたしの弱さでもあるのでしょう。オリジナルの中島みゆきは、そういう影のある女性を、ストレートに歌い上げているように思います。哀しさを背負っている人は、性別に関係なく、自己満足に陥ってしまうこともあります。

 

そういう歌も、世に数多くあるでしょうが、「アザミ嬢のララバイ」には、淡々とした感じがし、歌詞の主人公は、哀しさを帯びながらも、どこか冷めているようです。中島みゆきの歌い方は、それを見事に表現し、わたしは、オリジナルも、もちろん大好きです。

 

 
 

しかし、島津亜矢の「アザミ嬢のララバイ」には、ストレートな感じがなく、哀しさを感じさせながらも、それを反転させ、逆に力強さを感じさせます。それは彼女の歌い手としての持ち味でもあるのでしょうが、もしかしたら、性と生のイメージが、わたしの中で、重なったからかもしれません。生きる意志、という言葉があり、大袈裟かもしれませんが、島津亜矢の「アザミ嬢のララバイ」には、どうしても、それに呼応するものを感じます。

 

アザミという野に咲く花は、哀しさや侘しさを帯びています。けれども、たとえ野であろうと、大地に根を生やし、成長し、枯れて行きます。朽ち果てるまで、必死になって、植物としての生を全うしようとします。これを意志と名付ければ、植物ばかりではなく、動物も含めた全ての生き物に、共通しているようにも思います。「アザミ嬢のララバイ」自体にも、そういう感じが込められていると思います。しかし、島津亜矢版では、なお一層、表に出て来ているように感じます。非常に逆説的ですが、むしろ、逆説的であるからこそ、訴えるものが大きいようにも思います。

 

おそらく、中島みゆきは、淡々と歌うことで、聞いている人に感じる余地を与えているのかもしれません。一方、島津亜矢は、それを自分なりに掴み取り、自分の感覚を聞いている人に、投げかけているのかもしれません。ところで、「アザミ嬢のララバイ」は、中島みゆきのデビュー曲です。1975年にリリースされ、わたし自身、オンタイムでの記憶はありません。けれども、松田優作主演のTVドラマ「探偵物語」で、この曲が使われ、小学生の時に、再放送で視聴し、以後忘れられなくなりました。

 

「失踪者の影」という話で、ある地方の女性が、消えた男を捜すために上京し、夜の商売をしながら、探偵に捜索依頼をするというストーリーです。今から思えば、こんな話を見ながら、「アザミ嬢のララバイ」が心に残り、非常にマセたガキでしたが、インパクトが強かったのでしょう。正直、タイトルを知ったのは、学生の時でした。中島みゆきの歌をじっくり聞くようになり、あるCDアルバムで発見し、現在でも、その時のうれしさを、ありありと記憶しています。(^。^)

 
 

いずれにせよ、わたし自身、中島みゆきの「アザミ嬢のララバイ」も大好きですが、島津亜矢の「アザミ嬢のララバイ」も、同じように気に入っています。DVD「島津亜矢リサイタル2007 邂逅」には、他にもカバー曲があり、「人形の家」や「飾りじゃないのよ涙は」なども、見事に歌い上げています。もちろん、持ち歌も収録され、彼女の魅力でいっぱいです。

 

 

けれども、わたしにとっては、「アザミ嬢のララバイ」が、DVD「島津亜矢リサイタル2007 邂逅」の中で、一番のオススメです。初めて視聴した時、一杯飲みながらでした。「アザミ嬢のララバイ」を聞いた時、うんうん唸ってばかりでした。感じやすくなっていたのか、両目に冷たいものが溢れて来たのが、酔い心地の中でも、はっきりと分かりました。

 

人はそれぞれの趣味などがあり、好きな歌手なども、人それぞれでしょう。当然、わたしもその中の一人ですが、島津亜矢の歌声には、つくづく、自分の心の棘に、優しさを帯びながら、ちくちくと触れて来るように感じています。特に、自分の知っているカバー曲などには、それがなお一層強くなっています。

 

下記の個別レビューで、すでにリクエストを書いていますが、

 

 

「アザミ嬢のララバイ」を聞きながら、「わかれうた 」と「ヘッドライト・テールライト」とともに、島津亜矢の「ひとり上手」も、是非聞いてみたい、と思いました。

 

だらだらと勝手なことばかりを述べて来ましたが、今回は、これまでになります。

 

 



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