カバーであっても、お似合いのー曲 喝采

傑作というものは、正確には人それぞれです。ある人の好きなものが、他の人にとってそうとは限らず、実に相対的なもののように思います。余談のようですが、BBCの「Only Connect」というクイズ番組が好きで、別サイトでも、色々とお話しています。これが、わたし以外の人にも共通しているかというと、必ずしもそうではなく、当り前と言えば、当り前です。

 

また、傑作は、自分にとって大切なものであるとも言えますが、それにふさわしい島津亜矢のCDアルバムに出会いました。本年(2010年)10月6日に発売された、「BS日本のうたVI」です。おそらく、わたしよりも、ファン歴が長い方にとっては、島津亜矢の「BS日本のうた」シリーズに、傑作が多いと思っているかもしれません。

 

たとえば、先の「BS日本のうたV」においては、「千の風になって」や「翼をください」など、わたしでも既に知っていた曲があり、実に親しみやすいアルバムです。さらに、「BS日本のうたIV」においては、弘田三枝子の「人形の家」なども収録され、島津亜矢の幅広さを感じさせてくれます。けれども、今回の「BS日本のうたVI」には、その魅力が、何倍、いや、何十倍にもなっているように思います。

 
 

一曲目から、本年(2010年)話題になったとも言える、「I Will Always Love You」が収録され、洋楽でも、ここに島津亜矢あり、を見事に表現しているように思います。また、個人的には、You Tube以外で、島津亜矢の映像を初めて見ることになった「おさらば故郷さん」も収められ、生声とはまた違った音質の良さが、聴く者の心に残ります。

 

さらに、「与作」や「花~すべての人の心に花を~」などは、わたし自身もカラオケで歌いますが、恐れ入りました、という気持にもなりました。(^。^) あるいは、美空ひばりの「港町十三番地」や「悲しい酒」なども、島津亜矢の持ち味を十分に発揮していると言えるでしょう。しかし、今回のアルバムで、実際に耳にし、ゾクッと来たのが、ちあきなおみの「喝采」です。

 

わたしの年齢からすれば、ちあきなおみを知らない訳ではありませんが、少なくとも、小学生以前の思い出です。
おそらく島津亜矢自身も、似たようなものでしょう。記憶としては、70年代の匂いが色濃く残る、テレビ画面の向う側のステージに立つ姿で、ありあり覚えているのは、コロッケのモノマネです。(^。^) しかし、ちあきなおみの「喝采」は、ドリフターズの「8時だよ、全員集合!!」でも歌われ、当時のヒット歌謡の一曲です。悲しさを帯びた曲調に、ちあきなおみの独特の声と容姿が重なり、人々の共感を生んだとも言えるでしょう。

 

そんな個性豊かともいえる「喝采」を、島津亜矢は、しっかりと自分のものにし、重たく伸びやかでありながらも、歌の核とも言える悲しさを、見事に歌い上げていると思います。正直、何度も繰り返し聞いてしまい、飽きが来ないで欲しいと思っていますが、島津亜矢の歌を聞くたび、知っているのに聞き惚れてしまうので、仮に飽きが来たとしたら、休みも必要だ、と思っています。(^。^)

 

いずれにせよ、島津亜矢の「喝采」は、個人的には、特筆に値するものと思っています。島津亜矢の歌声に、熱情があると、当サイトでもお話しています。「喝采」の中でも、それを感じることができますが、この歌の特徴からか、たとえば「女優・須磨子」などよりも、さらに、抑えられた感じがします。しかし、そうだからといって、彼女特有の柔和な立体感が、完全に閉じ込められている訳ではありません。むしろ、ブレーキが効いているからこそ、詞の中で表現されている表と裏の両面がひとつに包まれているようです。そうして、拍手喝采を受けながらも、心が違う方を向いている詞の主人公の姿が、しっかりと伝わって来ます。

 

ちあきなおみは、約20年前に引退した人です。今では、生の姿を見ることはできませんが、わたしの記憶では、少しかすれた声をしていました。しかし、今のわたしにとっては、「喝采」というと、その少しかすれた声に、柔らかくはっきりした声が重なり、さらに、対称的な二つの鼻のほくろが、オーバーラップし、そうして、最後は、島津亜矢の姿が、ありありと前面に現れて来ます。

 

「喝采」は、島津亜矢にとっても、お似合いの一曲に思います。

 

 



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